それで、「登山の哲学」を読んだ。これはコンパクトに良くまとまっていた。本人が書いたのかもしれないが、かなり編集者の手が入っていると思う。「哲学」らしいことはほとんど書かれていない。タイトルも編集者が付けたようだ。
個人的に面白いと思ったのは最後の章である。非常に省エネ的歩き方をしていて、足をわずかに上げてフラットに着地し、地面をキックしていない。クランポンの跡がくっきり残るという。この点は私の頼りないふらふら歩きと同じである。私も脚を慣性の法則に従わせつつ、振り子運動で前に出し、地面を軽くプッシュして、支持脚と遊脚とを交換する。ふくらはぎの筋肉は使わない。
本の内容は、「初代竹内洋岳に聞く」とほとんど重なっている。だから、この本を初めて読んだ人は、素晴らしい本だと思い、アマゾンで5点を付けるだろう。私は2冊目なので、ほぼ同じだなあという印象である。だから点数評価すると、4点までである。
登山家なので、文筆家ではない。書く内容は、8000m峰の登頂のことに限られる。それ以外のことは期待できない。そういう限定付きで本を読んだ方がよい。
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